株式会社ココロエ

WORKS

築港のアトリエと住まい

2021年4月竣工 
住宅・アトリエ(ガラス工房) リノベーション 
建築地:玉野市築港
構造:木造2階建て
延床面積:222.35㎡のうち改修面積165.79㎡(50.15坪)

穏やかな海風が通り抜ける築港で、空き家になっていた店舗兼住居の建物を住まいとアトリエに改修した。以前からガラス作家の奥さんのアトリエと住まいを探していたクライアントが選んだ物件は、道路面に居酒屋の空き店舗と奥に住まいが連なるユニークな物件で、店舗には設備や什器も残っていた。店舗は陽当たりが良く、住まいと店舗の間に小さな中庭があり、住まいの北側にも倉庫が並んでいて敷地の余白があり、リノベーションをしたら面白い空間ができそうだと、購入を相談された時にお話した。10年以上空き家になっていたことから、板金屋根やバルコニーは錆びて朽ちる手前の状態だった。

改修は住まいの1階の続きの和室をリビングにするために一部屋にし、既存窓の一部を掃き出しに変更し北側の庭とのつながりを作った。店舗と併用していたからかなかったキッチンは玄関とホールだった空間に設け、中庭からのエントランスキッチンとした。もともとあった中庭から直接道路に出れる通路を生かし、アトリエとは別の動線で住まいに出入りできるようにしている。2階も2つの個室を一部屋にしたが、構造柱はそのまま現した。朽ちたバルコニーは撤去し新たに物干し場を作った。大屋根は葺き替え、下屋と外壁は塗り直し、内壁・天井・床下・サッシは断熱改修を行っている。

アトリエは予算の限りもあったので、丁寧に残ってもいいものと取り除くものを選んだ。新しく付け加えたものは入口のスチールドアと照明器具ぐらいで、ほぼ既存からの引き算で成り立った空間である。

(photo by  内田伸一郎)