株式会社ココロエ

WORKS

御津の古民家(OMOYA 545)

2020年10月竣工
複合施設 リノベーション 
建築地:岡山市北区御津新庄
構造:木造2階建て  
延床面積:198.77㎡(60.12坪)

岡山中心部から少し離れた中山間地域に江戸後期に建てられたと地域に伝わる古民家の再生プロジェクト。下屋の虹梁の腐食や土台や梁の蟻害など、長期間空き家になっていたため構造の劣化が激しくみられた。劣化部分の取り替えと、耐震補強、既に茅葺の葺き上に板金がかかっていた屋根を外し、腐食した茅を取り除いて新たに屋根を葺き替えるなど大規模な工事となった。(茅葺による替えを検討したが予算超過により実現できなかった。)

1階はアルゲンフリーの菓子工房とイートインスペース、2階は小規模の宿泊スペースとなっている。1つの建築に多機能な要素を入ること、運営と管理の効率性を考え、利用に欠かせない性能を向上、建築基準法の要件を満たすなどの課題があり、建物本来の持ち味を生かしつつ、それらをクリアしていくためにあらゆる工夫をちりばめている。

1階の中心にある菓子工房の箱は、大黒柱周りの耐震壁になっており、その箱の表を客動線、裏をスタッフ動線とした。2階に居室があるため、採光や通風のために大屋根の妻面にガラスを入れ、勾配面に窓を新設している。新設した屋根には特に断熱性能を上げ、大空間でも夏は涼しく、冬は導入したペチカの効きが良いように新設した木製建具の断熱性能も考慮している。

1階は利用者層の子育て世代が子連れで訪れてもゆっくり過ごせるようにこあがりを設け、子供たちが庭と屋内をぐるぐるまわって遊べるように大きな掃き出し開口を取り付けた。2階は古い梁を避けながら泊まるスペースになっているが、「便利さ」ではなく、敢えて古いものとの「近さ」を演出することで、古民家の醍醐味を味わってもらえたらと思っている。

※ 岡山市の未来づくり推進事業採択物件

(photo by  内田伸一郎)