キッチンを中心としたスタジオ兼住まいが欲しいと料理研究家から依頼された。キッチンと共に暮らしの中心にはペチカを備えた。ペチカは暖炉兼調理器具としてロシアで利用されている蓄熱型の暖房器具である。レンガの躯体内に煙道がめぐっていて温められた壁面の輻射熱で部屋を暖めるため、室内環境によく、体にも良い。自宅では長時間、料理と向き合っているクライアントのライフスタイルによく合うと思い提案した。中心になるリビングダイニングキッチン以外の部屋はコンパクトに3帖の個室2つと屋根裏部屋で構成されている。

建築地である鳥取県中部は夏は酷暑、冬も積雪があり、雨も多く湿気が多い。そのため屋根の勾配をしっかりとり軒を深く出すボリュームを検討した。その上で自然光で日中暮らしたいという要望に応え一部の屋根切り欠き、吹き抜けから光が入るように計画している。また建築地は海に近く砂地のため建物の基礎は高基礎とした。ペチカも湿気対策に一役買っている。

(photo by　カメラのカヤノ)